自然の景観を損なわない美しいチタン製のウッドストーブ。
そのウッドストーブはとても小ぶりで煮炊きをするには少し頼りなく、反面そのウッドストーブと云えば毅然とした佇まいで物々しさの中に自尊心の様なものを持ち合わせている。
小薪を入れ火を点ける、ゆっくりと捲れた樹皮に火が移り少しずつ小薪に火が移る。
そこからは一気に炎を大きく上げ、ウッドストーブの倍以上の高さにまで大きな炎をパチパチと上げる。
炎が落ち着き安定した燃焼に切り替わり力強く安定感を持って燃え続ける。
連結された板の隙間から温かみのある炎の灯りが漏れ、暗闇の中で美しく自身のフォルムを際立たせている。
先ほどまでの頼りなさは跡形も無く払拭され、ただ今はゆっくりと燃え盛るウッドストーブを只々見つめている。
そんな美しいウッドストーブこそがバーゴ社のチタンヘキサゴンウッドストーブだ。
コンパクトな設計と美しいフォルム
先ず見た目にも美しいこのウッドストーブだが、チタンの板を蝶番の様な形で連結されているため畳んだ際の厚みが僅か数ミリ程度の薄さになるためザックの隙間やコッフェルの下などの小さな隙間にパッキングする事が出来る。
畳んだサイズが16cm位あるのでコッフェルの中にスタッキングするにはソロ用のコッフェルでは難しいものの、パッキング自体は隙間に入れて置けるのでコッフェルの中に他の物を入れて置けるのも嬉しいところである。
例えば、ガスストーブを用いる際にはコッフェルの中にOD缶とストーブを入れてしまうと他の物が入らなくなってしまうのでカトラリーや調味料などを別に用意する必要がある。
しかしコッフェルの中が開いていれば多用に入れる物を変える事が出来る、日帰りであれば食べた後のゴミやコーヒーのフィルターなどをそのまま入れて帰って来る事も出来るのだ。
もっと言えばその日のコッフェルの形や大きさに合わせてストーブを選ばなければならない為、このコッフェルにはこの組み合わせと決まってきてしまう。
しかしこのウッドストーブを用いればコッフェルの大きさなどに縛りが無く、料理などに合わせてお好みのコッフェルでパッキングが出来てしまうのだ。
小枝を使って小さな焚き火で簡単に湯沸かし
このウッドストーブはソロ用のサイズでとても小さいので細い小枝だけでも十分に焚き火を楽しむ事が出来る。
通常の焚き火台であれば大中小の太さの違う薪を用意し徐々に炎を大きくする必要があるのだが、このウッドストーブであれば中小位の細い薪だけで十分に火をおこし煮炊きをする事が出来るのだ。
そもそも大きな薪を必要としないのでナイフも大げさな物は必要無く、料理や緊急時に使う様な小さなナイフだけで事足りてしまう。
アルコールストーブの五徳にも最適な万能ウッドストーブ
どうしても雨の日や湿度の高い日に丁度良く乾いた薪を見つけるのはなかなかの困難である。
そんな時に予備で持っていると安心なのがアルコールストーブである。
通常の市販のアルコールストーブは基本的に五徳が必要な為に色々と工夫をして使うのだが、このウッドストーブであれば丁度アルコールストーブを中に収める事が出来る為、アルコールストーブの五徳としてそのまま使う事が出来る。
アルコールストーブの五徳と云えば今ではいくらでも存在する、もっと言えば自作のアルミ缶を使ったアルコールストーブであれば五徳なしでそのままアルコールストーブに乗せて使える物も簡単に作る事が出来る。
しかしなぜこのウッドストーブが使いやすいのかと云えば、風防効果が抜群に良いのだ。
どんなに良いストーブを使っても火を扱う上で一番厄介になるのが風である。
外で火を使えばすぐにわかる事だが、無風に感じる様な日でも必ずわずかに風は吹いている。
だとすれば風を肌で感じる様な日であれば必ず煮炊きの際に風に悩まされる。
そんな時にこのウッドストーブを使ってみてほしい、他の風防とは比べ物にならないほどの風防効果を得ることが出来るのだ。
先ずアルコールストーブの周りを一周囲う壁で風の影響をかなり軽減させる、そしてウッドストーブならではの構造だが底板に燃焼を促す為の空気を取り込む穴が開いていてこのおかげでコッフェルを乗せてもアルコールストーブの火力が落ちる事も無いのだ。
この構造はトランギア社のストームクッカーの五徳の構造と良く似ている。
このウッドストーブは焚き火用ではなくアルコールストーブの五徳兼風防として使っている方の方が多い様に思えるが、使ってみれば納得の使いやすさである。
このウッドストーブはコンパクトな故にいつもザックの片隅に入れている。
気が向いた時に落ち葉や小枝が豊富にある場所で必要な燃料を拾ってはお気に入りの場所でゆっくりと小さな焚き火を楽しんでいる。
小枝を使う故に長時間の焚き火は少し忙しくなってしまうのだが、少しの湯沸かし程度にはとても最適なウッドストーブである。
気軽に小枝や落ち葉拾いをした後はパチパチと燃える炎を見ながら焚き火で作ったコーヒーをゆっくり楽しんでみるのもとても贅沢な時間になるのではないだろうか。